【2012年18期党大会人事予想ー個別寸評編①】


前回のエントリーでグダグダと述べたのは
・現在の中央政治局常務委員9人中、7人が引退。
・候補は68歳未満(2012年段階)中央政治局委員11名から選出。中央委員からの二階級特進はなし。すでに常務委員入りしている習近平李克強を除けば、9名中7名が常務委員入りする計算に。
胡錦濤が17大で布いた「胡錦濤人事」が基本線。曾慶紅とムービースタアの影響力如何で、常務委員会入りメンバーの入れ替わりがある。


ということでした。10行以内で終わる内容をよくもまあ。。。という反省はさておき、今回は中央政治局委員11名から誰が常務委員入りするか、またその序列(ポスト)は何か、というのを個別に検討したいと思います。予め言っておきますが、序列に至っては会期中の駆け引きでいくらでも転ぶもの。ましてや胡錦濤の突出した調整能力というのは、そこらへんでの妥協や取引に真価が発揮される訳であり、それこそ釜の蓋が開くまで=最終日のお披露目に登場するまで分からないって類いのものです。事実だけ気になる方は、大会期間中の「多維報」「明報」あたりの先行報道をお待ちください。


習近平李克強
 さて、既に常務委員となっている習近平李克強の2名は現時点では確定ですので、省略させてもらいます。序列も習近平が1位、李克強が3位で間違いありません。ただ1期目の5年間は、胡錦濤院政というか先人たちの敷いたレールに乗って内部掌握に努めることしかできないので、独自色を出していくのは暫く先でしょう。左旋回は間違いないので、海上保安庁の方々にはしっかり準備をお願いしたいもんです(笑)。個人的に習近平体制になって一番気になるのが台湾問題なのですが、2017年までは大きな動きはないと見てます。
確 習近平 序列1位→国家主席・総書記 
確 李克強 序列3位→国務院総理 


《汪洋と李源潮
次に、前回17大人事で中央候補委員→中央政治局委員という「飛び級」を果たした2名、汪洋と李源潮は現在の職務内容からも昇格はほぼ確定と言っていいでしょう。しかも昇格可能な中央政治局委員の中で2期10年務められる年齢なのは、習・李を除けばこの2人だけ。政権(といってもこの場合の政権とは「胡錦濤院政」)の安定を考えれば、この2人が序列上位に来ることが濃厚なのでは、と考えます。


◎汪 洋(57)広東省党委書記
 江沢民の後見人で対台湾の窓口だった元上海市長・汪道涵の甥と言われていますが、実はそこがはっきりしません(笑)。汪道涵と同じ安徽省出身なので、遠縁関係にある、くらいが適当なのではないでしょうか。一般的には極貧の安徽出身で幼くして父親を亡くし、17歳の時から地元の食品工場で働き始めたという、太子党とは真逆の刻苦勉励・叩き上げの人物です。


 はっきりしているのは共青団安徽省地方幹部経験が長く、その際に訒小平の目に留まり、そこから出世の階段を駆け上がった人物だということです。中央政治局委員中、李克強とならんで最年少ながらキャリアは既に国務院副秘書長→重慶市党委書記→広東省党委書記と、薄煕来にとっては常に前を行く「目の上のたんこぶ」ですね。この2人の争いは、官製メディアも入り混じって結構ドロドロの権力闘争になるのではないかと、一人期待しております。

 
 気になるポストですが、2期10年務められるというアドバンテージを活かし、全人代委員長か政治協商会議主席が視野に入ります。一方、後述しますが紅い猛追によっては1期目は意外と様子見的立場に抑えられるかもしれません。ただその場合でも年齢的に3期務められるというのは大きいですね。
    

李源潮(62) 中央組織部
 李克強とならぶ団派のエース格。父親が元上海副市長(李干成)という太子党でもあります。現在は党内の要職にいるためあまりメディア露出はありませんが、5月の日中友好議連訪中でも習近平の翌日に会談がセッティングされるなど、存在感があることは認識されている模様。現在の組織部長から常務委員(規律検査院書記)というルートは、賀国強が同じルートを辿っていますのでこれも問題ありません。


 ポストは賀国強と同じ規律検査院書記が適役かと思うのですが、汪洋同様2期10年務められるというポイントを重視して、政治協商会議主席(序列4位)という可能性が実際のところ本命ではないでしょうか。
    

《引退前のひと働きな人々》
 中央政治局委員には3選禁止という不文律があり、3期15年を中央政治局に居続けた人物はいません(3期目に中央政治局常務委員に昇格するか、できなきゃ引退)。そのため、現時点で2期10年務めている68歳未満の政治局委員は、2012年で常務委員に昇格することが濃厚。それに該当するのは3名。
張徳江(66)
兪正声(67)
劉雲山(65)
この3人も昇格濃厚です。昇格がなければ「何か」あったとみていいです。


張徳江(66) 国務院第三副総理(工業・交通・エネルギー・社会保障等担当)
 江沢民の手下として広東省のトップを務め、次いで胡錦濤派に転向(といわれています)して、現在は国務院にてインフラ関係の行政を司っている派閥横断的な人物。最終学歴が北朝鮮金日成総合大学という高才生(笑)で、金正日とは同窓にあたります。現在の国務院では温家宝李克強回良玉(2012年引退予定)に次ぐ序列なので、単純に考えたら筆頭副首相としての常務委員入りが濃厚です。いっぽうで辣腕型である王岐山に筆頭副首相(序列中位)の座を譲り、その経歴と派閥横断型立場を活かしてより上位序列も十分あり得ると予想します。

   
兪正声(67) 上海市党委書記
 現在の上海党委書記ですので、失脚しない限りは常務委員昇格が濃厚な人物です。しかも地方トップの経験も豊富なところが胡錦濤好みであり、父親は兪啓戚(元天津市長・第一機械部長を歴任したものの、48歳で病死)と良血の太子党でもあります。


 一見すれば太子党のプリンスとして後継者候補に挙がってもおかしくない人物ですが、遡ること約30年前、彼の兄(異母兄)である国家安全部外事主任・兪強生が1983年にアメリカ亡命してしまい当時の政法委員長のクビが飛ぶという大事件が起きており、脛に大きな大きな傷がある人物。お陰で10年ほど足踏みを余儀なくされました。そんな脛に傷がある彼が上海トップまで着けたのも協力な後ろ盾があるからであり、恐らくその後ろ盾は前回引退した曾慶紅であることが想像できるため、兪正声の処遇は18大における曾慶紅の影響力を計る指標の一つと思ってます。
 在米メディアの「多維報」では、結構失脚の噂が挙がってますが、この辺りは蓋を開けてみなけりゃわからないので、トラック野郎のデモに注視したりするなど、細かく情報をウォッチしておきましょう。
 

劉雲山(67) 党宣伝部長
 中央宣伝部副部長、その後宣伝部長と都合20年を宣伝畑を歩んでいるという、バリバリの宣伝・思想担当。弾圧や検閲に関しては李長春周永康ウィキリークスなどで書かれているけれども、実際の指揮をとっている人物はほぼこの人とみて間違いないでしょう。団派と言われていますが、その根拠は不明です(誰か教えてください)。


 経歴(党内官僚歴がきわめて長い)と仕えたボス(丁関根→李長春)をみると、大括りにみて保守派と捉えるべき人物。「スーツよりも人民服」といった、古き良き(笑)保守派をイメージさせてくれる人です。長老がたの受けもよさそうなので、李長春の後を継いで宣伝思想担当で入閣する線が濃厚でしょう。序列は李長春の1期目と同じ第8位でしょうか。


という訳で結論はまたまた先延ばし。どうせ当たんない結論ですから(笑)次回で完結させますので。。。


【これは。。。】
カンザス州ケンパー現代美術館で展示中の、高競・高強兄弟の作品「跪き後悔する毛沢東」がシュールすぎる(笑)。


【随分手厚い】
本日も援護火消しに勤しむ人民日報が1面に「内蒙古自治区全面に、草原生態保証制度を確立」という記事を掲載。ちと胡春華さんを甘やかせすぎと違いますか?


【いや確かに美味しいけどさあ】
日本が求めている訪日観光促進施策に対し中国が検討しているのが「じゃあ中国国内でフグ食べられるようにしようか」ということで、食品衛生部の方々が長崎県のフグ養殖加工場を視察されるそうな。


【そんなホームレスのじいちゃん虐めんでも】
大連中級法院は、麻薬密輸罪で逮捕された70代の日本人男性に執行猶予つき死刑判決。