【博訊にお怒りのようで】
王立軍事件(高官、しかも次期指導者の有力候補の側近が、外国の領事館に駆け込んで一晩も過ごし、その後拘束された事件。「休暇式治療」のインパクトではありません)で、一番の注目は「親分の薄煕来がどうなるか?」にあることは衆目が一致するところなのですが、多維先生は「大きな障害にはならない」との判断をしている模様。

王立軍事件に関する、中央の正式なアクションはこれまでのところ4つ。
・2月8日、重慶市政府による「休暇式治療」のアナウンス
・2月8日、外交部記者会見にて、報道官による重慶市政府アナウンスと同内容の発表。
・2月9日、外交部・崔天凱副部長による「孤立事件」コメント
・2月9日、人民網での外交部による「王立軍は聴取を受けている」と発表
このスピードから見る限り、事件発生後トップの意思決定が速やかになされ、アメリカにも根回しをして共通認識を図ったことがわかる。

7日の夜に、王立軍は四川から北京に行ったので、共産党トップはそこで事件の詳しい状況や方向性について決定したと思われる。ではその方向性とは何か?崔天凱のコメントからその一端を垣間みることができる。

崔天凱はコメントで「これは、「孤立した事件」である」と強調している。つまり7日にトップにより決定したこととは、王立軍と薄煕来は切り離されたものであり、王立軍から別の人間に波及するものではない、というトップの見立てを暗示しているのである。これが「解決は順調に進んでいる」(解決的很順利)というような表現であれば、さらに事件が広がる可能性が考えられた。

また、官製メディアの報道でもこの見立ては明らかである。人民網にある「高層動態」ページでは、2月9日、10日とともに薄煕来に関する報道や写真が掲載されており、現時点でもそれらは存在するばかりか、人民網に最も多く登場している人物でもある。

しかし、今回の事件で薄煕来は保身に成功したとはいえ、直接の領導として重慶市党委書記の薄煕来はその責任が発生するのでは、とも考えられる。無論、十八大に向けてはマイナスポイントになったと考えられるであろう。

この事件では、無責任な海外メディアの報道にも問題がある。このような事件が起きるとすぐに権力闘争と判断し、読者の目を引くために、公開書簡などを偽造するなど、実に幼稚だ。中共に対する基本的知識を欠いていることが、今回のような報道ではっきりわかる。

中国の特殊性により、多くの大陸人が海外メディアを見ることが難しいとはいえ、基本的なメディアとしての責任を疎かにしてはならない。大陸の人々が目にすべきなのは、きっと党メディアの「真っ赤な」報道でも、今回のような狂騒に満ちた報道でもなく、より客観的事実に基づいた「透明な」報道なのだから。
(多維新聞)


【お咎めなし】
重慶テレビのお姉ちゃんが微博でフライングしちゃった、薄煕来の雲南視察ですが、正式に「8日9日と雲南に視察に行った」と発表が。秦光栄・雲南省党委書記も同行していたということで、結果としてお姉ちゃんのクビは無事だった模様。
(中国共産党新聞網)


【微博すげえ、ということで】
重慶市長の黄奇帆が10日に北京にいたことが、某シンクタンクに勤める人の微博で発覚。「休暇式治療」についての相談だったことは間違いないでしょう。
(明報)


【大盤振る舞い】
重慶に戻ってきた薄煕来は、続いてカナダのハーパー首相と会談。手みやげにパンダのつがいを贈るなどご機嫌さんだった模様。
(新華網)



【関連性は?】
人民解放軍・総後勤部副部長の谷俊山中将が失脚した模様。上司は劉源(劉少奇の息子)で、彼が手を下したと思われるものの、詳細は不明。ちなみに、薄煕来の嫁さんは谷開来で、父親が谷景生・人民解放軍少将で「まさか?」と思われますが、谷父子の出身は山西省臨漪(薄親子と同じ)、失脚した谷俊山は河南省の出身なので、現時点での接点は不明。
(BBC 中国網)


【そんな比べ方しなくても】
韓寒さんはブログの中で、「王立軍の事件に比べたら、僕と方舟子の論戦なんてガキの喧嘩みたいなもんさ!アメリカのドラマと国内ドラマくらいの違いがある。」と仰ってます。
(多維新聞)


【時期が悪い】
10日に予定されていた、胡錦濤国家主席日中友好七団体の接見は急遽キャンセルされた模様。尖閣諸島命名問題への抗議の一環と考えられますが、まあ休暇式治療のせいにしておきましょうや。
(多維新聞)